小説や映画などの創作物の中で、時には友として、時には生活や仕事のパートナーとして、そして時には人間の安全を脅かす敵として、様々に語られてきた『ロボット』。かつては遠い未来の物語と思われていたロボットという存在ですが、今や現実のものとして私たちの生活の中においても身近な存在になってきました。
現在、社会の様々なシチュエーションの中で存在感を増しているロボットですが、『コボット』という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。産業業界ではもちろんのこと、医療や日常生活の中においても、コボットは、これからの社会においてより欠かせないものとなってくるだろうとも言われています。ここではそんなコボットについて、簡単に説明していきます。
コボットとは?
コボット(Cbot)は、英語でCollaborative robot、つまり『協働ロボット』とも呼ばれています。工場や作業場などで従来から使われてきた産業用ロボットは、基本的に人に代わって単純な作業を行うことを目的として作られました。それに対しコボットは、その名の通り、人と「共に」働くことを前提に設計されています。つまり、より高度で柔軟さが求められる作業を、人と共に行うことができるのです。また、従来の産業用ロボットだと作業員の安全確保のためにも、ロボットと人が一定の距離をおいて作業することが必要でしたが、安全技術の進化により、人が近接して作業しても安全性を確保できるようになっているのがコボットの特徴です。
社会的ニーズ
現在、日本の社会の様々な分野でコボットの導入が進められています。コボット市場の成長も目を見張るものがあり、コボットへのニーズが高まってきているのが容易に見てとれます。そこまで注目を集めている理由は何なのでしょうか?
その最も大きい原因と言われているのが、少子高齢化に伴い、問題が表面化してきている労働力の不足です。帝国データバンクの調査によると、日本では大企業でも人手不足感が強まってきていると言われており、中小企業ではさらに人材確保が難しくなってきている状況です。それでなくても製造業などにおける仕事は、一般的に「きつい」「汚い」「危険」の3Kとも言われており、常に人材の確保が難しく、定着率も悪い傾向にあります。こうしたことから起こる労働力不足問題を、コボットを使うことで解消できるのではないかと期待されているのです。
多様性を備えた機能
もうひとつ、コボットの導入が求められている大きな理由として考えられているのが、消費者の嗜好の多様化だと言われています。つまり、同じ製品を大量に生産するのではなく、消費者の求めに応じた多種多様な製品を少量生産することが求められるようになってきているのです。そうした生産体制に対応するためには、従来の一品大量生産型ではなく、生産ラインを細かく変更できるフレキシブルな作業体制が必要となってきます。そういった状況において求められるのが、製品に応じて複数の作業にフレキシブルに対応ができ、さらに作業員と共に作業ができるコボットなのです。